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じりつブログ

レールから外れたあとの生き方を模索するブログ

書評『アイデア大全――創造力とブレイクスルーを生み出す42のツール』:すべてのビジネスマン・クリエイター必読! 42の発想法を網羅した実用書であり人文書

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本書では、42種類の発想法(アイデアを生む方法)が紹介されています。

仕事、研究、創作、研究…とにかくアイデアを出す必要に迫られている人は必読。

この本に載っている発想法を知っているか知らないか/使えるか使えないかで、知的作業の質・量・効率が全然違ってくるでしょう。

まえがきに「本書は実用書であると同時に人文書である」との記述がありますが、実用書として非常に役に立ち、かつ人文書として読みごたえのあるたいへん素晴らしい本だと思います。

実用書として

本書に載っている発想法は、読んだらすぐに実践できるようになっています。

それぞれの発想法について、以下のことが記載されています。

  • 難易度
  • 開発者
  • 参考文献
  • 用途と用例
  • レシピ(それぞれの発想法の具体的なやり方)
  • サンプル(実例、具体例)
  • レビュー(発想法が生まれた歴史的・思想的背景や他の発想法との関連など)

42の発想法が「0 から 1 へ」(自分に尋ねる/偶然を読む/問題を察知する/問題を分析する/仮定を疑う)「1から複数へ」(視点を変える/組み合わせる/矛盾から考える/アナロジーで考える/パラフレーズする/待ち受ける)のカテゴリーに分類されています。

目次からすぐに自分の使いたい発想法を探すことができます。

レシピを読めばとりあえず試すことができるので、とにかく実践のハードルが低い。

発想法はいくら方法だけ知っていてもダメで、実際に使えないと意味が無いわけですが、本書はすぐに行動に移せるようになっている。非常に使い勝手がいい本だと思います。

人文書として

本書は、ただ発想法を列挙しただけの本ではありません。

それぞれの発想法が生まれてきた歴史的・思想的背景や心理プロセスにまで踏み込んでいます。

これまでの「発想法本」は、著者が考えた発想法だけにフォーカスしているとか、ビジネス分野/学術分野の一方だけに偏っていたりだとか、あまり発想法同士の関連性・つながりについては省みられなかったものばかりだったように思います。

対して本書は、創造性開発の分野だけでなく、科学技術、芸術、文学、哲学、心理療法、宗教、呪術など多くの分野から発想法を収集。それぞれのかかわり・類似性についても記述されています。

また、それぞれの発想法について詳しく知りたい、深掘りしたいときの、詳細情報をたどるための取っ掛かりがとても多い。

発想法の開発者やレビューが充実しており、例えば「いつ・どこで・誰が・何を・どのように」と自問する方法の呼称が「キプリング・メソッド」である、といった記述がそこかしこにあるので、今まで名付け得なかった概念の名前がわかる→ググれる、といった具合に自分の知識領域を広げるトリガーがふんだんに盛り込まれています。

参考文献リストも非常に充実していますし、アイデア史年表も巻末にあるのでリファレンスとしてもとても秀逸です。

発想法の生まれた背景や開発者の逸話など、単純に知的な読み物として楽しく読めますね。通読してもすごく面白い。

凡人にも創造はできる

世間一般では「新しいことを想像する=天賦の才に恵まれたクリエイターの営為」という思い込みが無意識のうちに信じられているように思います。

確かにそういった側面があるのは否定はできません。「エジソンだから新しい発明を量産できた」「ショートショートをたくさん生み出せたのは星新一だから」――それはそうなんですが、凡人が発想力に乏しいのは、発想する「技術」を知らないし、そもそも発想はテクニックによるところが大きいということに思い至っていないからなのかもしれない。

この本にはそれぞれの発想法が活かされた実例が数多く紹介されています。エジソンの発明やニュートンのひらめき、はてはポール・マッカートニーが「イエスタディ」を生み出したプロセスまで、発想のメソッドとして整理分類されている。

素人凡人がゼロからなにかを始めるのは非常に困難で、あらゆる分野で――研究でもビジネスでも――先輩や先行者の蓄積してきたノウハウを利用して、いわば「他人の褌で相撲を取っているうちに、褌が自分にすっかり馴染んでくる」みたいなところがあると思うのですが、発想法にも同じことが言えるのではないか。発想・創造の分野でも、先人の知恵を使い、確立された思考様式を「パクる」ことで、独力ではたどり着くことが困難だった地点へのショートカットを手にすることができるのでは、と本書を読んで思い直した次第です。

まとめ

というわけで、本書は知的創造に携わるすべての人必携だと思います(そこまで大仰にいわなくても、アイデア出しをしなきゃいけない人は読んでおいて損はない)。

なにしろ発想法は知的作業に携わる人間のいわば武器なのですから、知ってる数が単純に多いだけでも他者の優位に立てるわけです。

本書を読めばすぐ実践できるから、試して自分(あるいは自分のおかれた状況・環境)にあった発想法をみつけ、カスタマイズしていけばいい。

類書というか、いろいろな発想法の本がこれまでに数多く出版されていますが、本書以外の書籍にはここまでの網羅性がないので、まず本書を読んでおけば問題ないかと。

本書を読んでより深く知りたくなったことがらについて、突っ込んでいけるように記述してあるのも親切です。

なお、本書の紙の色は最初から最後まですべて蛍光イエロー。Amazonのレビューでちらほら不満が見られますが、ぼくは好きです。適度に目に刺激があるというか、読むと少しリフレッシュできますね。


『アイデア大全――創造力とブレイクスルーを生み出す42のツール』

目次
まえがき 発想法は人間の知的営為の原点
第I部 0 から 1 へ
第1章 自分に尋ねる
第2章 偶然を読む
第3章 問題を察知する
第4章 問題を分析する
第5章 仮定を疑う

第II部 1から複数へ
第6章 視点を変える
第7章 組み合わせる
第8章 矛盾から考える
第9章 アナロジーで考える
第10章 パラフレーズする
第11章 待ち受ける

イデア史年表
索引

単行本: 336ページ
出版社: フォレスト出版 (2017/1/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4894517450
ISBN-13: 978-4894517455
発売日: 2017/1/22
商品パッケージの寸法: 21 x 14.8 x 2.5 cm